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従業員の定着や活躍をサポートするために、ウォンテッドリーが2020年に立ち上げた新規事業「Engagement Suite」。今回は、その成長を第一線で支えるエンジニアの富岡、デザイナーの田中に話を聞いた。
ウォンテッドリーに新卒で入社してから富岡は9年目、田中は6年目。それぞれの立場でプロダクト開発に向き合い続けている二人。機能の実装やデザインの洗練にとどまらず、事業全体を見据えた意思決定にも関与するようになった。その過程で直面した壁、視点の変化、そしてこれからの展望とは?技術者・クリエイターの枠を超え、事業をリードする存在へと進化する彼らのリアルに迫った。
「Engagement Suite」の紹介
ウォンテッドリーのミッションである「究極の適材適所により、シゴトでココロオドルひとをふやす」ために、従業員の定着や活躍をサポートする「Engagement Suite」を2020年より提供開始しました。福利厚生「Perk」、オンライン社内報「Story」、マネジメントツール「Pulse」の3つのプロダクトから構成されています。
登場人物の紹介
富岡 真悟(Engagement Growth Squad / Engineer / Squad Leader)
2017年に新卒でウォンテッドリーに入社。以来「Wantedly Visit」の企業向け機能の開発や、契約基盤改修プロジェクトのリードなど幅広く担当してきた。現在はエンゲージメント事業の開発と、事業横断の Backend Chapterのリーダーを務めている。
田中 悠一(Engagement Growth Squad / Product Designer)
2020年に新卒でウォンテッドリーに入社。UIデザイナーとして、「Wantedly Visit」のグロース施策やモチベーション・マネジメント「Pulse」の初期設計に従事。現在は、福利厚生「Perk」の専任デザイナーとして、デザインに関わるすべてを手がけている。
成長の機会を探して辿り着いた、新しいフィールド
ーーまずは簡単に自己紹介をお願いします。エンゲージメントチームでのミッションをそれぞれ教えていただけますか?
富岡:では、私から。エンゲージメント事業のプロダクト開発を担うチームで、チームリーダーとエンジニアリードを務めています。新規機能の開発や既存機能のアップデートなどを中心に手がけています。ウォンテッドリーでは、入社から9年目を迎えました。
田中:私はプロダクトデザイナーとして、事業部が掲げる指標を達成させるために必要なデザイン業務全般を担当しています。UIデザインにとどまらず、アプリのロゴデザインなども手がけました。ウォンテッドリー歴は、6年目ですね。
ーー新卒でウォンテッドリーに入社されたとのことですが、どのような経緯だったのでしょうか?
富岡:きっかけはウォンテッドリーからスカウトを受け取って、エンジニアのインターンに参加したことです。
実際の業務を経験して、「社歴や年齢に関わらず、フラットに仕事ができる環境」や「アイデアから実装し、リリースするまでの意思決定の速さ」に魅力を感じましたね。入社を決めた一番の理由は、「シゴトでココロオドルひとをふやす」というミッションが、自分の想いとマッチしたからです。
というのも、大学院時代の同期は有名企業に続々と就職していきましたが、あまり楽しそうに見えなくて。みんなが仕事に夢中になって働ける。そんな世界をつくっていけたら、楽しそうだなと思ったんです。
田中:私はインターン先を探すのに、Wantedlyを利用していました。実務に携われるインターンを探していたところ、Wantedlyのデザイナーのインターン募集を見つけたんです。
カジュアル面談では、さまざまなクリエイティブを見せてもらったのですが、その世界観に一気に惹き込まれました。直感的でシンプルなのに独自の魅力があって。自分もこの会社の一員として関われば、世界の名だたる企業と肩を並べるような経験ができるかもしれない、とワクワクしたのを覚えています。
ーーありがとうございます。二人とも入社後は会社訪問サービス「Wantedly Visit」の開発に携わってきたと思うのですが、どういう経緯で今のチームに参加されたのでしょうか?
富岡:私の場合は、自ら異動を希望しました。「Wantedly Visit」の開発を3年ほど経験した後は、プロダクト開発から離れて契約基盤の改修プロジェクトに携わっていまして。それがひと段落したので、もう一度プロダクト開発に戻るタイミングになったんです。既存事業か、新規事業か。二つの選択肢がある中で、自分への刺激が強いほうを選び、「エンゲージメント事業で開発に携わりたい」と当時の上長に伝えました。
田中:自分は、マネージャーからの打診がきっかけでした。当時のデザイン組織は、一人が複数のプロダクトを横断的に担当していたのですが、デザイナーの人数が増えてきたこともあり、専任を配属できるようになったんです。新しいチャレンジの機会として捉え、自分の成長にもつながると感じたため、前向きにオファーを受けることにしました。
富岡:田中さんが加わるまでは、デザインのほとんどを社外のデザイナーへ依頼していて。コミュニケーションの取りやすさから、「社内で専任のデザイナーがほしい!」と希望をずっと伝えていたので、待望の瞬間だったのを覚えています。
とくに田中さんは、UIデザインに対する感度が高く、こだわりも強い。アウトプットも自分の想定を超えてくるので、驚かされることが多いですね。
田中:ほめていただき、嬉しいです。富岡さんには、いつも多角的で鋭いフィードバックをもらえるので助けられています。より良いものをつくっていると実感できるので、一緒に仕事をしていて楽しいです。
プロダクトづくりの先へ。PdMロールがもたらした新たな視点
ーーとても良い関係性ですね。「成長の機会」を求めてエンゲージメントチームに加わったということですが、実際にどんな経験をされていますか?
富岡:「Engagement Suite」は3つのプロダクトで構成されていますが、現在はチームとして福利厚生「Perk」の開発に注力しています。その開発において、一時的にではありますが、PdM(プロダクトマネージャー)の役割も担う機会があり、大きな成長実感につながりました。
すこし背景をお話しすると、当時、組織体制に変更がありまして。新しいPdMの方が入社されるまでの期間、事業部長と私、そして田中さんの3名でその役割を担う必要がありました。役割が変わる難しさも当然あるのですが、プロダクトのフェーズとして「小規模企業さまの利用数は伸びてきたので、次は中規模企業さまの利用数を伸ばすためにどうすべきか」という戦略立案が求められるタイミングだったんです。
田中:市場や顧客、そしてサービスへの理解が浅いと、戦略を描くこともできません。私も富岡さんも新卒で入社以来ずっとウォンテッドリーなので、正直、自社の福利厚生しか知らなかったんです。そもそも何のために福利厚生が存在するのか、そのキャッチアップには改めて時間をかけましたね。
具体的には、セールスの商談録画を1日に5本、週で20本ほどを集中して見ていきました。「どういう顧客が、どういうニーズで福利厚生サービスの導入を検討しているのか」「なぜ他社サービスからの乗り換えを検討しているのか」「受注や失注理由は何だったのか」といった点の理解を深めていきました。
富岡:失注理由は、商談録画では分かりづらい。なので、詳細をヒアリングするために、セールスだけでなく開発メンバーもミーティングに同席するようにしました。機能面の不足が明らかな要因であれば、その機能を実装することで要因を一つ解消できる。もちろんリソースも限られているので、ニーズの高さや事業インパクトを考えて優先順位を決めて対応していくことにしました。
ーー事業フェーズが変わったことで、より戦略的な思考が求められるようになったということですね。戦略を描くうえで、他に行ったことはありますか?
富岡:競合調査も行いました。他社の戦略にヒントはないか?サービスサイトや資料の確認、登壇セミナーの視聴といったことから、採用デックや会社ブログのチェックまで。情報として得られるものは、目を通すように心がけました。
サービスの特徴を理解することにプラスして、どういうビジョンを掲げている会社で、どのような想いで福利厚生サービスを展開しているのか。そうした細部までを把握するようにしました。
田中:「サービスを通じてどのような価値を提供したいのか」という想いの部分が、今後の差別化ポイントになってくるかもしれませんね。
私は顧客理解を深めたあとに、「顧客の再定義」を行いました。顧客の分類は、より細かく整理できた。次は、それぞれがどんな価値観を持ち、どんな状況でサービスを利用しているのか。そこを改めて定義していきたいと考えました。
このプロセスを通じて特に良かったのは、「顧客にとって本当に必要なものは何か?」を見つめ直すきっかけになったことです。ある企画で利用シーンを描こうとした際、想定していたニーズと実際の顧客のニーズにギャップがあることに気づき、企画自体の方向性を再検討することになりました。結果的にチーム内でより深い議論が生まれ、ユーザーにより寄り添った内容へとブラッシュアップすることができました。
顧客ニーズや利用シーンを整理して、仮説検証を繰り返し行った
富岡:調査やユーザー理解が深まるにつれて、戦略の妥当性が自然と確認されていきましたよね。また顧客理解が進んだことで、「この機能は、顧客に求められるか?求められないか?」という感覚が以前よりもチーム全体で掴めるようになりました。
田中:そうですね。それとプロジェクトが現実に即しているかどうかを定期的に確認する重要性を改めて感じました。詳細は控えますが、調査や仮説検証のプロセスを大切にすることで、プロジェクト全体の質を高めることができたと思います。
ーープロダクトを「つくる人」から、戦略を「描く人」になっている。そんな印象を受けました。どんな場面で「事業づくりに貢献できている」と感じますか?
富岡:やはり、自分が実装した機能で受注につながったときですね。映画チケットが割引になるTOHOシネマズの特典や、コーヒーやアイスが最大無料となるgiftee Box selectなどはキラーコンテンツになりました。
またアプリの有無は、競合に対して明確に劣る要因だったので、「アプリのおかげで受注につながりました」とセールスから報告があると嬉しく感じます。
最近の施策でいうと、顧客からとくに好評なのがPerkポイントです。たとえば入社一周年やクリスマスなどのタイミングで、会社からメッセージつきで従業員にポイントをプレゼントできるようになりました。それがPerkの利用率の向上、そして従業員のエンゲージメント向上につながるサイクルが生まれています。
田中:「想いを伝える」という部分が、とてもウォンテッドリーらしい機能ですよね。
私は、自分の提案が実際に採用されたときに貢献感を得られています。個人としては「落ちているボールがあればすべて拾いたい」というスタンスでいるので、新しい役割を担ったときのようにデザインという枠組みから越境しているときが、いちばん貢献できている瞬間かもしれません。
意志をもって集まってきた仲間とともに、高い熱量を持ちながら
ーーずばり、いまのエンゲージメントチームで働く魅力を教えてください
田中:「このフェーズを楽しみたい」「裁量の大きい環境に挑戦したい」といったような強い意志をもつメンバーが多いです。転職組だけでなく、社内からも「このチームで挑戦したい」と手を挙げたメンバーが集まっています。
富岡:確かに熱量が高いメンバーが多いですね。それぞれの領域でスキルを持ったメンバーと、密にコミュニケーションを取りながら同じ目標を目指していく。ようやく10名を超えたばかりの少数の組織なので、連帯感が強いです。
田中:エンゲージメントチームに限らずですが、ウォンテッドリーには良い人が多いので、コミュニケーション面でストレスを感じる部分がないですよね。
ーーいろいろな職種の方がいますが、どのようにコミュニケーションをとっているのでしょうか?
富岡:開発チームは、エンジニア2名、PdM1名、デザイナー1名で構成されています。それぞれが独立して動かないように、日次でタスクの進捗共有、週次でプロジェクトのプランニングとレビューを行っています。
田中:自然と話す機会が多いので、認識のズレが生まれにくいです。それとビジネスチームを含めた事業部全体のミーティングも週次で開催しています。セールスから顧客からのリアルなフィードバックをもらえるので、開発側としては貴重な機会になっています。
富岡:業績確認も行うので、目標に対してどんな進捗なのかを細かく把握できる点も良いです。つくって終わらずに、現状を把握して、改善につなげていく。ものづくりの醍醐味だと思います。こうしたビジネスと開発の距離感の近さは、いまの規模感だからこそ。成長とともに、どう維持するかは大事になっていきますね。
本質的な価値を見つけ、次なるフェーズへ
ーーPerkを今よりも成長させるために、考えていることを教えてください
富岡:競合も多く、新興サービスも増えている領域です。競争が熾烈化していくなかで、迅速なプロジェクト推進や柔軟な意思決定をどう実行するか。この点がポイントになると思います。議論も大切だが、スピードを加速させることが、事業成長にインパクトをもたらしてくれるでしょう。
田中:ウォンテッドリーのValueでいうところの、Move FastとCode Wins Argumentsですね。
富岡さんの話に加えると、本質的な価値を見出すことが大切かなと考えています。他社との差別化を図るためには、単純に「特典数を増やしていく」という方針は筋が良いと思えません。私たちだからこそ提供できる価値とはなにか。そこを見出して、ファンを増やしていけると理想的です。
富岡:事業成長のためには、私たち自身もまだまだ成長が必要です。技術面も、マネジメント面も、いろいろと経験しながら、スキルを伸ばしていけたらなと思っています。
田中:そうですね。私もプロダクトが良くなればそれがベストだと考えていて。そのための、魅力的な環境づくりやチームをデザインしていくことにも、最近は興味を持つようになりました。
ーー最後になりますが、二人が新卒で入社されてからずっと「シゴトでココロオドル」状態でいられるのはなぜでしょうか?
富岡:ウォンテッドリーが、プロダクトを大切にする会社だからでしょうか。ボードメンバーもプロダクトファーストで考えていて、ビジネス側からも開発チームへのリスペクトがある。エンジニアとしては、モチベーション高く仕事に向き合える環境だと思います。
田中:新しいことに挑戦できるからですね。新規事業だったり、役割だったり。社内でいろんな経験が積める点に魅力を感じています。また根本には、デザインが好きという気持ちがあるからです。私は「自分が携わるプロダクトが、最高のプロダクトになってほしい」と思っていて。この情熱さえ枯れない限り、どんなときもココロオドル状態でいられると思っています。